投稿日:2019.7.27 10:01
●紫微斗数と八字(四柱推命)のどちらを勉強したらいいですか?
はじめに
八字(四柱推命)の教室をはじめてから、「紫微斗数と八字(以下、四柱推命ということにします)のどちらを勉強したらいいですか?」、あるいは「どちらのほうがより簡単ですか?」というご質問をよくいただきます。
紫微斗数は、日本でも台湾でもポピュラーなのは、星曜派(日本では三合派といわれることが多い)の紫微斗数です。
この星曜派の紫微斗数の書籍は日本でも数多く出版されていますし、どの本とかいうのは差し控えますが、読みやすくて内容も豊かなものが手に入ると思いますので、書籍を熟読されるだけで命盤の出し方はもとより、その看命方法もある程度のところまでは理解できるものと思います。
命盤を出すのは、暦などをみて手書きで出すのはとても面倒なので、わたくしは生徒様にもお奨めしている紫微斗数WIN EXの命盤作成ソフトを利用させていただいています。有料ですが、とても使い勝手のよいソフトだと思います。
そして、本だけでは理解しにくいとか、もう少し詳しいことが知りたいという方は、ご本の著者の先生方がされている教室や講座に足を運ばれたらと思います。
わたくしの経験上、星曜派の紫微斗数は1年くらい勉強されたらおおよそのところは理解できると思います。
欽天四化紫微斗数は独学は無理
さて、ここから本題に入ります。
欽天四化派の紫微斗数(以下、欽天四化という)の習得は、独学では無理だと断言しておきます。
書籍にしても、僭越ながら現在のところ日本で出ているのはわたくしの「欽天四化紫微斗数の世界」だけだと思いますし、台湾でもわたくしの師である陳永瑜老師の「古今紫微斗数乾坤」か、蔡明宏老師の「欽天四化紫微斗数飛星秘儀(一)」等しか知りません。
これらの欽天四化の本はロジックが複雑で、高等数学の専門書のような内容ですから、教えていただいて‘’やっと理解可能‘’と思います。
四柱推命をされている方はご存知と思いますが、四柱推命の原典のひとつに「滴天髄」がありますが、この本を読んでも四柱推命を理解できないのと同じようなものです。
‘’わかっている‘’あるいは‘’わかっていると思える‘’人に教えていただかないと、欽天四化や滴天髄のような四柱推命を理解されるのは至難と思います。
さらに、命理の世界では「古書」からの引用というものがあります。
これは、昔の偉い先人の方がおっしゃった説や文言をそのまま書籍に掲載されるケースです。
以前に、陳老師のレッスンで、「夫妻宮に八座が出ると離散(離婚)の意がある」とおっしゃいましたが、陳老師のご著書をみると八座は、「穏健、開朗、圓融」とあります。吉祥の意です。
それでわたくしは老師にこの差異について尋ねたところ、老師曰く、本に書いてあるのは、「それは古書から引用したもの」とおっしゃいました。
すなわち、あんに八座には離散の意があるのは、口伝でしか教えないということです。
これに限らず、命理を学ぶ場合気を付けておく必要があるのは、本に書いてあることが100パーセント正しいということはないということです。
ほんとうに大事なことは口伝でしか教えてもらえないことが多い?!と思っておいたほうが賢明かと思います。
命理が教えてくれること
紫微斗数や四柱推命のような命理が教えてくれることは、つぎの6項目になると思います。
1. 持って生まれた先天徳分や先天福分はどのくらいか?
※これは専門的には格局の高低という言葉でよくいい表されます。
2.個性は?
※当該個人の性格性質です。
3.運気運勢の盛衰は?
※通常、紫微斗数も四柱推命も10年ごとの運気運勢の良し悪しをみていきます。
4.婚姻は?
※一般的に婚姻の鑑定に関しては、未婚の方は「いつ頃結婚できますか?」、「お相手はどんな人ですか?」、「うまく行きますか?(離婚の心配はないですか?)」の3つのことを尋ねられることが多いです。既婚者は離婚や別居の是非等のご相談。
5.適職は?
※自営が可能かどうかを含め、どのような職種が向いているか?
6.身体健康は?
※かかりやすい病気の種類は?、意外(不慮の事故災難等)のリスクは?
ほかにも鑑定では、前世からの課題は何ですか?とか、今世の生まれてきた使命は何ですか?という高尚なご質問をいただくこともありますが、ほとんどの方は上記6項目についてお尋ねになられます。
以下、この6項目について、順番に紫微斗数(ここでは欽天四化に特化します)と四柱推命の特徴を考えてみたいと思います。
欽天四化と四柱推命の特徴
1. 持って生まれた先天徳分や先天福分はどのくらいか?
格局の高低が高い=先天徳分(福分)が厚い、反対に格局の高低が低い=先天徳分(福分)が低いということになり、これについては、欽天四化も四柱推命も同じ程度によくわかります。
紫微斗数で格局の高低を云々することはあまり聞かれないかも知れませんが、欽天四化ではよくこれをみます。
簡単に申せば、天地定位の生年Bと生年Dがいかなる宮にあって、その状態はどうか?ということで、ほぼ格局の高低は決定されます。
これについては、わたくしのこれまでのブログ記事(「紫微斗数は神様の黙示録」等)をよく読まれるとおわかりいただけると思います。
個人的には、四柱推命ではこの格局の高低を求めることが、この占術を利用する最大の目的のような気がしています。
一般的に先天徳分(福分)が厚い人は、社会的に地位ある仕事に就くことが可能であり、平均以上の幸福が約束されていると思います。
しかしながら、ここでいう幸福の概念は、健康で経済的にも恵まれ、また夫婦円満や子女賢良というような世俗的なことです。
特殊な才能を持った人で、たとえばベンチャー企業の創業者として成功したいというような人には、ちょっと当てはまらないことも多いかと思います。
2.個性は?
個性については、わたくしの個人的な見解は四柱推命のほうがより詳しくわかるように思っています。
陳永瑜老師の四柱推命のご著書「古今八字乾坤」の個性のみかたについて、つぎの8つの項目が掲載されています。
①日元五行
②身之強弱
③格局
④五行旺者
⑤天透地蔵之十神
⑥全陽、全陰
⑦冲、合
⑧四馬、四庫、四正位(多者)
説明は省略させていただきますが、項目が多いほど総合的な個性がみてとれるように思います。
それに反して、欽天四化は命宮や疾厄宮の十干(甲、乙等)でみたり、命宮の主星でみたり、あるいは、生年四化が付いた自分の星(丙年生まれの女性なら廉貞Dがどの宮に出ているか等)でみたりし、一貫した看命の根拠がやや乏しいように感じています。
3.運気運勢の盛衰は?
わたくしの教室の生徒様によくお話していることのひとつに、「欽天四化を学ぶことをお奨めする大きな理由は、運気運勢のみかたのロジックが明瞭簡潔であるからです。」と申し上げています。
これは非常に大切なことです。
先ほど申し上げた格局の高低が如何に高くても、運気運勢が低迷運のときは、「鳴かず飛ばず」の時期を過ごすことになります。もし、このようなときに事業を創業したり拡大したりすれば、順調に行かなくなり損失発生や失敗の憂き目にあうことが多いです。
逆に格局の高低が低い人でも、運気運勢が盛運のときは事業やお仕事が順調で発展や拡大が期待できます。
以前、40歳くらいの男性の鑑定で、「いつ上場(マザーズかジャスダック)したらいいですか?」というご質問がありました。
その男性の命盤を拝見しますと、生年四化がすべて六外宮にありました。
わたくしは心の中で、「この人が上場するのか(できるのか)?」とちょっと驚いたことがあります。
しかし、その方の運気運勢をみますと、20代から40代にかけてずっといいのです。
このような経験も通して、わたくしはとくに仕事に関しては運気運勢がとても重要であることを痛感しています。
ただ、ひとつ申し上げておきますが、如何に運気運勢がよくても、配偶者との関係が良好か否かは別問題です。
運気運勢の盛衰と六親との縁の厚薄や良否は別だということです。
四柱推命でも運気運勢はよくわかります。
しかし、残念ながら、四柱推命の大運の10年ごとの運気運勢をみていくのは、プロの方でも間違うことが多いのが現状かと思います。
その理由は、流派が多岐にわたって看命方法が異なるからです。とくに地支の刑冲会合のみかたのロジックは十人十色のような様相です。
大運の地支と命式の地支を交えての刑冲会合の取り方はとても大切で、大運の吉凶に大きく影響を及ぼします。
ここのみかたを間違ってしまうと決定的なミスとなってしまいます。
欽天四化ではこのような決定的なミスは避けられると思っています。
運気運勢の看命ロジックの優劣は、欽天四化に軍配が上がることは確かなようです。
4.婚姻は?
わたくしの個人的な意見ですが、魂の修行にもっとも効果的なのは‘’夫婦生活‘’であると思っています。
まったく血縁関係のない人とある時ある処でご縁があり、結ばれて、男女二人での共同生活をはじめます。
親兄弟でも大人になるにつれて一緒に暮らすのが難しくなる昨今です。
結婚生活、夫婦の共同生活は、互いに遠慮したり妥協したりして、「合わせる」心が大切です。
長い夫婦生活において、さまざまな葛藤や問題が起こるのは当たり前です。そうした煩わしいことひとつ一つが自分の人間としての成長の肥やしになります。
最近は結婚しない人も増えていますが、とくに何か理由があって結婚しないなら別ですが、わたくしは折角生まれて来て、自分の魂の向上にもっとも資する結婚を避けるのは何とも残念なことと思います。
さて、婚姻に関する命理の利用は、ふたつに分かれます。
ひとつは、自身の先天的な婚姻の良し悪しは如何に?という自分の結婚や夫婦生活の良否についてです。
これに関しては、欽天四化のほうが四柱推命より詳しくわかるように思います。
といいますのも、欽天四化では男女星が明確に分かれていますので、自分の星と夫や妻の配偶者になり得る星がいかなる宮に出てどういう状態であるかによって、どのような夫婦関係になるかがよくわかるからです。
よい夫婦関係を構築することができるのか、多少の紆余曲折があっても夫婦の絆を維持できるのか、あるいは正式な結婚は難しいので同居婚などになってしまうのか、残念ながら離婚の確率がきわめて高いのか・・・、等々、夫婦の関係は百人百様です。
そうした夫婦関係のあり方を欽天四化は如実に示してくれます。
それに対して四柱推命ですが、異性の星(配偶者の星)は通変星でみていくことになりますが、五行の生剋化合、地支の刑冲会合などでどのような夫婦関係になるのかを解明するのは、偏った命式の場合は案外簡単ですが、それ以外の場合はかなり難解な作業になることが多いと思います。
しかし、いつ結婚できるかという婚期の時期と相性(合婚)をみるのは、四柱推命のほうがロジックが精緻で確かなように実感しています。
婚姻に関しては、もっとも鑑定依頼が多いので、欽天四化と四柱推命の両方を駆使してみていくのが賢明と思います。
鑑定のご依頼でニーズが高いのは男女の相性です。
如何に結婚運がよくなく離婚の憂いがあるような人でも、相性のよい人と一緒になればそのリスクは軽減されます。反対にもともと結婚運がよい人であっても、相性がよくなければ、配偶者の資質や能力が高くても夫婦間に障害が発生することもあり得ます。
相性は疎かにはできないことですが、しかしあまり神経質になるのも問題なので、わたくしは参考程度に四柱推命を用いることが多いです。
参考程度と申し上げたのは、相性より、家庭環境や価値観が似ている人と結婚するのが大切だと思っているからです。
ことわざで「釣り合わぬは不縁のもと」とあります。何の釣り合いが大事かは人それぞれかも知れませんが、わたくしは家庭環境(とくに経済面で)がよく似た者同士がいいと思っています。
鑑定のご依頼でもっとも多いのが結婚(再婚を含む)に関することです。
よき伴侶に出逢い、幸せな結婚を望む切実な願いに少しでもお役に立つのは、八字(台湾の四柱推命)の合婚(男女の相性)のみかたです。
八字はこの合婚を学ぶためだけでも習得の価値はあるように思います。
2021.5.11追記
※参考記事⇒欽天四化紫微斗数と八字(台湾の四柱推命)の習得の 難易度とその結果の優劣
5.適職は?
仕事に関しては、欽天四化のほうが四柱推命より詳細にわかります。
欽天四化の仕事のみかたはロジックが確立され精緻です。
一生涯の適職はもとより、10年ごとにどのような仕事が適職かもみていくことが可能です。
さらに経営者、社長になれるかどうかも簡単にみていくことができます。
わたくしは紫微斗数と四柱推命以外の命理は知らないので、間違っていたら申し訳ないのですが、欽天四化は仕事(適性適職、脱サラの可否等)に関しては断トツの占術だと思っています。
四柱推命では主に格局、喜用神、時上の通変星で適職をみていきますが、残念ですが欽天四化に較べて大雑把です。
21世紀になり、職種も増え、働き方もいろいろな形態があり、仕事に関しての鑑定ご依頼は婚姻の次に多いのが現実です。
欽天四化の優位性が感じられます。
なお、余談ですが、神理では「職は食なり」とお教えいただいています。
江戸時代の人相骨相学の大家である水野南北先生の「開運の極意」にも、食事とその人の運は密接な関係があると記されています。
平素、食べ物を粗末にせず、食事のときは「いただきます」と唱え、食べ終わったら「ご馳走さまでした」と唱えるのが、人間に喰われるために犠牲になった生き物と食事を作ってくれた人への最低限の礼儀と思います。
また、「食べ物」を施すことはとてもよい行いですが、現代では、直接、食べ物より金銭で施すのがよいように思います。
このようなことを習慣としている人は、仕事運はよき方向に導かれると思います。
6.身体健康は?
これは欽天四化でも四柱推命でも同じようにみていくことができると思います。
どのようにみていくかの詳細はここでは省略しますが、基本的に両方ともみかたのロジックはしっかりしています。
紫微斗数は、欽天四化は各12宮に臓器や人体の部位が割り当てられていますので、どの臓器や部位に注意かはわかりますが、病名に関しては星曜派の紫微斗数で用いる小星星も併用するとピタリと当たることがあります。
また飛星派の紫微斗数でも、たとえば廉貞は易経八卦五行で艮宮の座です。艮宮は「腫瘍・癌」の象意があり、廉貞に生年四化か自化が付くと癌にかかるリスクが高まります。
いずれにしても、星曜派、飛星派、欽天四化派の紫微斗数を総合的にみていくと、どのような病気に注意かはかなりわかってくることがあります。
欽天四化では自化Cが多い人、四柱推命では合(天干五合、六合、三合等)が多い人は健康に注意の人となります。
どのような病気に注意かを事前に知っておくと予防に役立ちますので、今後、紫微斗数や四柱推命などの命理の利用価値はさらに高まるように思います。
意外(不慮の事故災難等)は、欽天四化でみたほうがわかりやすいと思います。
自化Bが多い人、とくに寅申巳亥の宮で自化Bがあれば注意の人です。
さらにその自化Bが破軍、太陽、武曲、巨門などの星に付いていれば尚更注意です。
四柱推命では刑冲でみていくことになりますが、とくに寅申巳亥の三刑がある人は注意の人です。
なお、病気に関して神理では、「身情(病気や怪我)問題」の前に必ず「事情(トラブル等)問題」があるとお教えいただいています。
先日も、ある女性の中間管理職の方が転職の是非についてご相談にお見えになりました。事情をお聞きしますと所属しておられる組織のトップの方にパワハラ的な扱いをされているとのこと。
はっきりとお口にされませんでしたが、言葉の端々にその方への不平不満があるように思いました。
命盤を拝見すると、卯宮に生年Cに自化があります。欽天四化では大腸に注意の命です。
これまでたびたび大腸にポリープができ気になっているとおっしゃっていました。
また、乳癌にも注意の星が出ています。
わたくしは、その女性に、「失礼ながら、お耳障りなことを申し上げますが」と前置きし、つぎのように申し上げました。
「あなたはお父さんとの関係はどうですか?」
「憎んだり恨んだりされていませんか?」
「だいたい会社でもトップから冷たく扱われるのは、お父さんに不平不満が多い方です。」
「大腸癌になられるような方は、組織のトップに逆らったりする方に多いです。」
「大腸=大長=社長の理です。」
「お父さんに逆らうのも乳癌になる種になります。」
「乳=父の理です。」
「寝る前に、お父さんに対するお詫びをされたらいいですよ。」
とアドバイスさせていただきました。
恥ずかしながら、わたくしは腎臓に最大の注意の命です。酉宮に生年Cに自化があるからです。
祖父が50歳で腎盂炎で亡くなっていますし、腎臓が要注意の家系のようです。
わたくしの酉宮は夫妻宮で、そこに天機Bと文昌Cがあり、自化があります。
兄弟との関係が注意ということを命盤は示しています。夫妻宮は父母宮の子女宮で兄弟との関係もみれる宮です。
わたくしの場合は、兄弟との関係が腎臓にも影響するということを読み取ることは可能です。
このように命理を活用して、病気の予防の一助にすることは高度な命理の利用法です。
以上、6項目について、欽天四化と四柱推命の特徴といいますか、いずれのほうが優れているかについてお話してきました。
鑑定のご依頼のニーズが高い、運気運勢、婚姻、適職について、私見ではありますが欽天四化のほうに軍配があがると思います。
命理をはじめて習われる方には欽天四化のほうをお奨めしたいというのが結論です。
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2020.3.2 14:51
【補足】紫微斗数と八字(四柱推命)のどちらを勉強したらいいですか?
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